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日本酒輸出3.0:なぜプレステージ・シャンパンと同じ棚を狙うべきか

LAST UPDATED: 2026-02-01

「安くて旨い」は褒め言葉ではない

ニューヨークの三つ星レストラン。 ワインリストを開くと、ロマネ・コンティやクリュッグといった名だたる銘酒が、数千ドルで並んでいます。 その隣に、日本の最高級純米大吟醸が「50ドル」で置かれているのを見たとき、私は絶望しました。

「日本酒はコストパフォーマンスが良い」 これは日本の誇りでしょうか? いいえ、それは**「ブランディングの敗北」**です。

フランスのシャンパーニュ地方がなぜ、世界中で高値で取引されるのか。 それは彼らが「液体」を売っているのではなく、「歴史」「土壌(テロワール)」「希少性」という物語を売っているからです。

コメの水で終わるな、神の酒となれ

日本酒には、シャンパンに勝るとも劣らない物語があります。 数百年にわたり守られてきた酵母。雪深い蔵での過酷な寒造り。そして、神事と直結した精神性。 しかし、私たちはそれを「スペック(精米歩合)」で語ってしまいました。 「40%まで磨きました」「いや、うちは23%だ」。 このスペック競争は、コモディティ化への片道切符です。

世界のエグゼクティブが求めているのは、「数字」ではありません。 「なぜ、この酒でなければならないのか?」という理由です。 「この酒は、当主が代々受け継いできた湧き水と、特定の区画の山田錦だけで作られ、しかも満月の夜にしか搾らない」 そんな非合理なまでのこだわりこそが、1本10万円のプライスタグを正当化するのです。

本稿では、日本酒を「アルコール飲料」から「ラグジュアリー・グッズ」へと昇華させるための、輸出プライシング戦略と物語構築(ナラティブ・デザイン)について提言します。

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